『イングリッシュ・モンスターの最強英語術』書評と、もっといい勉強方法。

イングリッシュ・モンスターの最強英語術
菊池 健彦 著



ひきこもり生活のなかで英語を勉強(これを「ひきこもり留学」と表現しているが、私はナカミを読むまでひきこもり者が留学した話なのかと思っていた)、TOEIC990点満点を24回もとったという著者の英語学習法を記した本。

1章:まず読むべきは著者が如何にして英語勉強、そして上達に至ったかを記したこの章だ。そしてそれは多くの英語学習者、引きこもりの人々に希望を与えるであろう。

2章:「日本人は英語が苦手」という私たちに植えつけられた認識を考え直す役に立つ。

3章:この章に書かれていることは正論すぎて、読んでやる気を無くす人もいるだろう。やる気を無くしそうになった方はぜひこの投稿を最期まで読んでほしい。ちなみに、ニュージーランドにある大学の外国人向け英語学習コースでは1日5単語程度が記憶可能な単語数だとしている。

4章:英語のテレビ番組などを通じて聞き取りを学ぼうとし挫折しかけた人にはいいかもしれない。

5章:写真付きで紹介されるDIYアイテムには引いてしまう人も多いかもしれないが、ナイスアイデアだ。私の通っていた大学の英語の先生はテープレコーダーを使ってこれと同じことをしていた。ただ、個人的には自分の発音をわざわざ聞き返さなくても真似るだけ、もしくはシャドーイング、で十分だと思う。もちろんカタカナ発音の英語を完全に取り払えることが出来ればの話だが。

6章:章のタイトル「文法なんてだんだん慣れるもの」にはまったくもって納得。SVOやSVCなんて実際に英語を使う上で必要ないどころか変に知っていてもじゃまだと思うのでこの章自体読み飛ばしちゃってもいいんじゃないかとも思う。

7章:TOEICを受ける人なら読んで損はない。

8章:「読み飛ばして構わない」と名が打たれているが、意義があることが書いてある。

一読に値する本だと思った。これから英語を勉強しようという人にはぜひ読んでもらいたい。

だが、彼の実践した勉強方は、なかなかのモチベーションがないとやっていけないはずだ。そこでここに私が実践してきた英語勉強方を記す。そして、それが多くの英語、語学学習者の助けになればとも思う。

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私abcxyz自身もまた、引きこもりであった。小中高校と、通して不登校、家に引きこもっていた上、勉強はてんでダメ。テストを受けるためだけに学校へ行くももちろんとるのは一桁台の点数。中高と学んでいるべき英語もさっぱりで、英単語問題なんて大の苦手。そんな私がどうやってTOEIC830点IELTSオーバーオールスコア7.0(詳細はこちらの投稿参照)を取ることができたのか?


その答えは単純明快。モチベーションがあったからだ。

そしてこの本が多くを記していないのもその点、引きこもりでいくら時間があったからといって、「将来役に立つかも」程度のモチベーションで適当に英語学習本などを購入しても、本当の意欲がなければ学習は続けられない。では私はどうやってモチベーションを高めたのか?それはこの2点:

・勉強はしなかった

・好きなことをした

単純である。単に好きなことをしていたのだ。ゲームが好きで長時間プレイしていればゲームが、テニスが好きでテニスをずっと続けていればテニスが上手くなる。そして、好きで続けているから、練習、特訓などとは思わない。嫌いにならない

私は学校での英語の授業は嫌いだった。どれだけ学校がなくなればと願ったことか。だがそれが勉強ではなく、好きなことならモチベーションが出るし、第一に 勉強をしている と思うこともない。

私が好きで続けたこと。それは多分みんなも好きなこと:

・テレビ

・映画

・ゲーム

・音楽

・インターネット


だ。ただグータラ生活を続けていた、ようにも見えるかもしれない。グータラ生活の延長線上にあるそれら。仕事を終え、家に帰って落ち着くひとときに行うだらだらとした行為。それらなのだ。ただ、その内容が英語だっただけ、そして私はそれらに集中していた。それだけだ。

無論この本の著者が第3章で書いているとおり、毎日持続し続けることは必要であるし、繰り返し性も必要だ。だが、毎日英語で映画を見ていれば共通して使われる=生活上頻出する言い回しや単語は繰り返し頻度も多いため覚えられるだろう。それに何よりも長期間興味を持ってつづけることが言語学習では重要なことだ。そして好きなことだけするという私の方法は、私にとっては完璧な言語学習の方法であった。

私は映画やテレビ、そしてゲームや音楽がとても好きだった。だからそれらを英語で見たのだ(アカデミー賞ものの演技を吹き替えで見たいなどと誰が思うのだろう?テレビ番組もオリジナル言語で見たほうが倍以上楽しめる)それだけと言っていいだろう。ただ、集中して見聞きすることは必要だ。「聞き流しているだけで英語が頭に入る」なんてことはまずない。この勉強法には映像を伴うモノ、つまり映画やテレビが適している。

映像を見、話されていることを意味は全くわからなくとも聴き、話の筋、人々の話していることを予測する。予測、これはとても重要なことである。

生まれたての赤ん坊はどうやって言葉を学ぶのか?周りの人々の言動を観察するのである。そして人々の行動と発する言葉を関連付ける。目から入る情報と音の情報を認識し、予測、その結果が正しいかどうかを見聞きして判断する。そうやって人は言葉を覚えていく。聞き流しではこれはできない。最近ゴルフ選手が出てしきりにCMが流れているリスニング系教材が実際に家にあった私が言うのだから間違いない。家でも車の中でも垂れ流されていたが、それだけではなんの効果もなかった。集中して聞けばいい勉強になることは間違いないのだが。親の言うことすら理解できず、自分では食べ物を手に入れることすらできない赤ん坊になった気持ち、その集中力で取り組めば言語は必ず習得できる。「何とかさんの息子さん、半年の留学でペラペラになったのよ」みたいな話はそういう話に違いない。

ただ、赤ん坊とあなたや私の違いは、もう大きく育ってしまったこと。そんな我々が言語を学習しようとしても、周りの環境はあなたの学んだ言語の使用方の間違いを指摘してくれないことだろう。話し始めた子どもが間違ったことを言えば、親はそれを言い直してくれる。そんな優しい人、そしてそこまであなたが学習している言語に詳しい人はそうそういないだろう。そこはパソコンの使えない乳幼児ではなく、成長して指先も自由に動かせるという大人の利点を持ったあなたが、インターネットをつかって解決できる点でもある。

また、予測学習方を使えば単語もある程度は学ぶことができる。新たな単語を聴き、どのような状況で使われているのか予測、観察し、学ぶ。結果日本語でその単語をなんというのかわからないことだってある。それに、映像上出てこない名詞や概念が出てきた場合はそれを学び切ることは不可能で、辞書などの助けを借りないといけない。これは日本語でも同じことだが、違いは周りにその質問をして答えることが出来る人がいるかどうかだ…。まあ、当然ながらいないので、辞書やインターネットの力を使いその言葉を調べるわけである。

言語を習得するには文法を学ぶ必要はない。実際殆どの日本人は日本語の文法用語など知らないだろう。私は数をこなせば、文法など知らなくても英語のテストなどにも有効だと思っている。頭の中で問題を見て、「普段聞き慣れない使い方=間違っている可能性があるもの」を見つけることができるようにはなる。言語の正しい使い方はその言葉を母語として操っている人のものを参考にすれば良いだけなのだ(口が悪いとか、方言が入っているとか言った可能性はあるが)。しかし残念なことに日本のような偽物の英語に接する機会が非常に多い環境ではその感覚を鍛えるのが難しいが。

また、自学中にどんな表現が正しいものなのかを調べる際には、なるべく学習言語での情報をさがそう。間違っている可能性が少しでもあるもの(つまり第二言語としてその言語を習得した人が記したもの)はなるべく避けたほうが良い。学習言語と自分の母語の持つ文化的な違いの話などは自分の母語で読むといいだろう。


そういえば、以前にも言語学習について記事をいくつか書いていたので参考までにリンクを張っておく:
abcxyzの英語学習法 の、でだし。
abcxyzの英語学習法 は、てきとうです。
abcxyzの英語学習法 の、れきし。っていうか本文。
abcxyzの英語学習法 の、本文その2。現在進行系な学習法。
abcxyzの英語学習法 の、付け足し。IELTSの結果とか。



あと、ひきこもりで悩んでいる方は厚生省の「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」のご一読をおすすめする。私の場合、そして今回軽くレビューしたこの本の著者は(本を読んで判断するに)、ひきこもりから脱するのに長い時間が必要だった。ひきこもり、不登校(この二つは別物だが)の子供たちを多く見てきたある精神保健福祉センターの職員は「必要なのは充電時間、充電し終わったら自分から外へと行けるようになる」と言ったが、私の場合まさにその通りだった。

コメント

  1. 参考になりました!

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  2. ymさんコメントどうもありがとうございます。お役に立てて嬉しいです!

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